2007年09月30日

「謝謝」の先にあるもの

 中国で開催されていたフットボールの女子ワールドカップは、今日のドイツ-ブラジル戦で幕を閉じる。日本代表が予選で敗退したからと言うより、日本戦ですら地上波での生中継は一戦のみと言う「無関心」からも、盛り上がりに欠けたのは否めない。

 「なでしこ」という言葉の私のイメージとメンバーの容姿とのギャップや、元女子日本代表の解説という名の絶叫などに、違和感を感じていたため、個人的には興味を持っていなかった。後で記す「騒動」に関しても、中国での反応を耳にするまでは、無関心な一人だった。しかし、
 新華社電によると、中国サッカー協会の謝亜龍副会長は29日、2018年のW杯招致に強い関心を持っていることを明らかにした。
(中略)
同席した国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長は「中国はW杯を開催できるだけの条件と能力を備えている」と評価した。
 FIFAはW杯開催大陸を持ち回りで決めており、10年は南アフリカ、14年は南米での開催が決定。18年は本来なら北中米カリブ海とされるが、ブラッター会長は18年以降の持ち回りの順番を再検討する意向も示している。
[中国協会が18年W杯招致に強い関心 : nikkansports.com より引用]
実現するとなれば、無関心ではいられない。とりわけ、金の臭いに敏感なプラッターの「中国はW杯を開催できるだけの条件と能力を備えている」言うのは、大いに疑問を投げかけるべきだろう。

 それは、アジア初の「単独開催」のワールドカップと喧伝される可能性が高いからだけではなく、2004年のアジアカップ同様の屈辱の「画(え)」が、世界中に流れる日本のリスクを考えなければいけないからだ。

 今回の女子ワールドカップのドイツ戦で、2004年のアジアカップの男子代表と同様のブーイングの中で、日本代表は戦った。結果は0-2と決勝進出を果たせなかったのだが、試合の後「ARIGATO 謝謝 CHINA」という横断幕を掲げた。
 ブーイングされながらも横断幕を掲げたのには、単純な私などはこれが「なでしこ」だったのかと感動すら覚えた。
 中国国内でも
大手ポータルサイト網易の掲示板でも、ここ数日、最も書き込みが多いのがこの話題だ。
「騙されちゃいけない。なぜ英語も併記したのか?なぜなら、それは中国人のためでなく、世界にPRするためだ。」「それでも歴史は忘れてはならない」「日本はゴミ。出て行け」などの“いつもの”論調の書き込みに加えて、「我々もそろそろ変わらなければならないのではないか?」「スポーツはスポーツ、政治は政治」「歴史と女子サッカーは関係ない」などという意見も書き込まれ、論議が過熱している。

20日付の新華社が発行する雑誌「国際先駆導報」は「中国は未来志向が必要」という意見を載った。またその中で、CCTV中国中央テレビの著名なキャスターで、日本取材の経験が豊富な白岩松は「我々は日本に対して、“情緒”を超える勇気を持ち合わせていない」とコメントした。
[「なでしこ」の”謝謝”から論議沸騰・・・中国は変われるのか?|スポーツCHINA〜体育中国 より引用]
と、様々な議論があるようだ。

 この横断幕は事前に用意されていたのだが、先のアジアカップの選手のバスや大使館員の乗用車への暴動をを心配してのことだったのかも知れない。アジアカップでの不快さは、「中国人全て」に問題があると考えがちだが、
私の友人の多くは一様に、「スタジアム内での彼らの行動は理解できない。」と言う。だが、数万人ものサポーターが、しかもある程度、組織的に応援団を組んでドイツを応援する・・またそれだけならまだしも、不合理なブーイングを繰り返す。「サポーターがおかしいのか、それとも、私の友人がおかしいのか」・・・といえば、友人の意見のほうが「少数派」というのが自然である。
(中略)
またある人に言わせれば、「球場に来る人は、みな日ごろのストレスを発散することが目的。本当にスポーツを楽しみたい人はテレビでじっくりと見る。」という。だから、球場には「悪口をいう」「大声を上げる」ことが目的でくるのであって、それがたまたま日本相手になっているだけ、というのだ。だが、日本と同じ、上海・杭州で行われたその他の試合では、どちらかの試合に対する「不合理なブーイング」はなかったという。(友人の記者の伝聞による)唯一、類するのは、ブラジルが勝てば中国の決勝トーナメント進出が決まるという試合で、相手のデンマークに対して、送られたブーイングくらいだということだ。

スタジアムにいた、ある中国人記者はいう。「ある意味、球場の雰囲気がそうさせたのだろう。全部が全部、反日感情を持っているというわけではない。周りの人がドイツを応援するから、それに乗っかって・・というわけ。どちらかを応援したほうが楽しいし、だったら、“どちらかといえば”ドイツ・・ということになったのでは」
[「なでしこ」の”謝謝”から論議沸騰・・・中国は変われるのか?|スポーツCHINA〜体育中国 より引用]
13億の多様性も認識する必要がある。

 しかし、中国での印象と共に、中国以外のアジア、世界の国々がどう言った印象を持ったのかを考える必要があると思う。男子のワールドカップは視聴者数が延べ300億を優に超えると言われており、スポーツ以外での影響を考えなければならない。隣人を嫌う中国よりも、隣人に嫌われている日本というイメージは国益を大いに損なうことになりかねない。

 中国での開催が決まったわけでもないが、開催が決定すれば、ブーイングが予想されるワールドカップなど、出場すべきではないという世論が湧き起こる可能性は十分予想される。日本の発言力は、10年後には相当低下している可能性も否定できない。
 日本の世界での、アジアでのプレゼンスを考える上で、中国との関係が大きな影響を与えることは間違いない。感情ではない、一歩先に進む方法を模索するのに、10年も時間の余裕があるとは思えない。
posted by KENKOU at 08:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | Sports | 更新情報をチェックする
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